当時は物価の上昇が問題となっていた。消費者物価の上昇があるのでインフレであるから引き締め政策を採るべきだとする議員に対して、経済に強い池田は「卸売物価が上がっていないのでインフレではない、消費者物価が上昇するのはサービス価格の上昇によるもので経済が豊かになるにつれて当然起こる正常なもの、コメの値段が上がって困るというがムギの値段は上がっていない」と理路整然と回答した。これを野党とかマスコミが「貧乏人はムギを食えと言うことか」と大反発し、それがいつの間にか「池田勇人が貧乏人はムギを食えと言った」と言うことになってしまったもの。今も昔も、扇動的マスコミは嫌らしい。
よって、池田勇人が言ったという名(迷)言は、事実とは違うのであるが、仮にそう言ったとしても、今となって考えるとこれは「迷言」ではなく「名言」だと思う。白米は栄養が偏っており、食べ過ぎると健康によくないからである。戦前多くの陸軍兵士が白米の食べ過ぎで脚気になって死んでしまったことを見れば明らか。ムギの方がよほど良い。
ところが、今は池田勇人の時代とは違って、ムギとか雑穀や玄米の方が白米より高い。今や金持ちでないとムギは食えないのだ。国民の健康志向を利用して、ここぞとばかり儲けようとする輩が多いからである。池田勇人も草葉の陰で泣いていることだろう。
そう言う輩に儲けさせるのはいやなので、散人はオートミール(カラスムギ)を食べている。賢人ボズウェルもオート麦を食べるとよい人間が育つと言っているではないか。
Talk:James Boswell - Wikiquote:
Samuel Johnson: "In England we wouldn't think of eating oats. We only feed them to Horses."
Boswell: "Well, maybe that's why in England you have better horses, and in Scotland we have better men."
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